学校研究
1 研究主題
対話的に学び合う中で、ことばの力を身につける子どもの育成
(本校児童の抱える課題「聞く力・説明する力の弱さ」、「学習意欲を持てない子もいる」を克服し、算数の力を確実に身につけさせるために、これまで積み上げてきた「表現力」「聞いて返す力」を高める研究をさらに推し進める。)
○「対話的に学ぶ」とは・・・
①自分との対話(自力解決、図をかいたり具体物を操作したりする活動を通して自分の考えを持つこと)
②他者との対話(友達に考えを伝える、説明する、聞いて返す、教師とのやりとりを通して考える)・・・これらの活動を通して、学びを深めていくこと
○「ことばの力」とは・・・ ことばを使って論理的に思考・判断する力
学び合いの中で自分の思いや考えを伝え、高める力
2 研究教科
算数
※ 全員が研究授業を行う。領域を特定しないが、29年度のNRTの結果を受けて「図形」
領域の底上げを図っていく必要がある。
※算数の他、高学年部会で外国語、低学年部会で道徳の授業を行う。
※ 特別支援学級とことばの教室の先生方には、UD(ユニバーサルデザイン)に沿った考え方での授業を提案いただく。
3 めざす子ども像
○主体的に考え、進んで表現する子ども
→「主体的に考える」とは、高い学習意欲を持ち、課題解決のためにそれまで習得した知識や技能などを生かしながら、自分なりの考えを持つ姿。「進んで表現する」とは、自分の考えを相手にわかるように主体的・意欲的に話したり書いたり、図や式に表したりする姿。
○対話的に学び、考えを深める子ども
→「対話的に学び」とは、意欲的に自分の考えを発表し合ったり、「聞いて返す」活動を積極的に行ったり、わからなかったことが友達の考えを聞いてわかったりする姿。また、教師とのやりとりの中で考えを深めたりする活動も含む。「考えを深める」とは、友達の考えのよさを取り入れて、よりよい考えに高めたり、いろいろな考え方を比べてよりよい考えに気づいたり、算数的よさに気づき、自分の考えを深めたりする姿。
4 研究の視点
(1)考えを生み出し、表現する場の工夫(主に「個の学び」の場面を柱に)
- 子どもの意欲を引き出す課題設定
- 自分の考えを明らかにし、表現する力を高める工夫
(2)思考を深める場の工夫(主に「集団の学び」の場面を柱に)
- 考えを広げ、つなぎ、深める学び合いの工夫(教師の関わり方を含む)
- 学びを活用し、確かなものにする場の設定(習熟・活用・まとめ・振り返りを含む)
- 授業研究では、必ずしもこれら全ての視点を網羅する必要はない。このうちのいくつかに絞ったり軽重をつけた形にしたりしてもよい。
5 荒砥小学校がめざす「探究型学習」の6つのプロセス
必ずしもこのパターンや型にとらわれない。単元や学習内容、児童の実態によって柔軟に変えていく。
①課題設定
- これまでの「問題提示」(教師側から課題を提示する)形から、子どもが自分で「問い意識」を持ち、課題を「つくる」形への転換。
- 前時までの子どもの振り返りを活用し、本時の学習課題を導き出す。
- 「考えてみたい」「解いてみたい」という子ども達の学習意欲を喚起したり、「おや?」「どうすればいいのかな?」という問いを持ったりするような問題(資料)を提示し、そこから問いを「共有」し、課題を設定する。
②見通しを持つ
- 「こうやったら解けるかな」「今までに学習したことが使えそうだ」という見通しを持たせる。
- 見通しの持てない児童への支援を工夫する。(ヒントカードなど)
③自力解決(主体的な学び)
- 算数的活動(半具体物の操作、線を引くなど)を通して考えを整理する。
- 考えたことを式や図に表わす。
- 子どもが考えたり活動したりする時間を確保する。
④学び合い(対話的な学び合いを通して深い学びへ)
- ペア学習、グループ学習、全体交流などを、ねらいを明確にし児童の思考の流れにそって組み合わせる。
- 自分の考えを発表し合う「出し合い」活動にとどまらず、お互いの考えの違いや共通点を見つける「比べ合い」活動を通して、深い学びにつなげていく。
⑤価値の共有(まとめ)と習熟
- 「比べ合い」活動から、よりよい方法などに気づいて一つの意見や考えにまとめる。
- 教師ではなく、子どもが自分の言葉でまとめるようにする。
- 活用問題や習熟問題に取り組み、学びを確かなものにする。
⑥振り返り
- 「まとめ」は、本時の課題に対してまとめるもので、「振り返り」は、他の教科や時間にも使える内容や次時の学習につなげるものと区別する。
- 「わかったこと」「友達の考えでよかったこと」「自分の考えが変わったこと」等の視点にそって、特に変容を意識しながら書く。
6 研究方法
(1)先生方個々の指導力・授業力を高めるために、全員が研究授業を行う。授業研究は、低学年部会から1本・高学年部会から1本出すこととし、全員で参観する。算数の研究を軸とし、道徳と外国語の授業は、低・高学年で分担して行う。
- 低学年部会…1・2・3年・ことば・なかよし(8名)=算数5・道徳1・特支2
- 高学年部会…4・5・6年・まなび・わかば (8名)=算数5・外国語1・特支2
(2)事前研と事後研は、昨年度同様に「低学年部会」と「高学年部会」に分かれて行う。
(少人数でのワークショップの良さを生かして、全員で深めていくようにする。)
- 事後研では、部会毎の話し合いの後に全体会を持ち、それぞれの部会で出された成果と課題を報告し合い、共有を図る。
(3)授業研究の他に、今年度導入予定(導入時期は未定)の校務支援ソフトやICTの研修なども行う。
7 その他
- 国語科は教科研究をしないが、これまでの財産である「10の観点読み」や「大きく読む手法」などは、日常の授業において継続的に取り入れていき、国語の授業を通しても「ことばの力」や表現力を身につけさせる。
- 指導案の形式は、昨年度の形を踏襲し、本時案を含めて全体で4ページにまとめる。
- 研究の共有と積み上げを図るために、授業者は、研究授業の「成果と課題」を、授業日から1週間以内にまとめ全員に配布し、研究の共有を図る。
- 年度初めに、研究用ファイルを先生方に配布し、毎回の指導案と「成果と課題」を綴じ込んでいき、それを「研究紀要」とする。(改めて紀要や収録を作成したり印刷したりしない。)指導案及び成果と課題は、毎回プラス10部印刷し、新しく赴任される先生方用及び保存用とする。
- UDの7つの視点の中の【授業づくり】の4観点(4.授業の構成 5.教師の話し方 発問や指示 6.板書、ノートやファイル 7.教材・教具)を盛り込んでいく。
- 初等教育研究会白鷹支部を今年度も継続する。初等教育研究会(筑波大学附属小)からの「教育研究」を毎月購読するとともに、筑波大学附属小の先生を講師に招聘して、授業研究会を開催する。